ふれる2022.03.10

浮遊する地球上の宇宙SPOT探訪 vol.2

駄民具ダミラ

地球上には時空間の境を超え、様々な年代や土地からどこからともなく磁場によって集められたモノが同居する場所があります。表向きはリサイクルショップやアンティークショップ、個人のオンラインストアという顔を持ちながら、店主でも大元を辿ることは難しい年代物や、国籍のわからない古物・古道具が扱われ、常識的な価値に囚われない謎なセレクトが集結している場所。宇宙編集部ではそんな不思議な場所を、地球上における「宇宙スポット」と定義することにしました。本連載では「宇宙スポット」の主の“宇宙観”について伺うとともに、磁場の正体と実際に出所が不詳(?)なアイテムをピックアップ。

 

第2回目では『駄民具ダミラ』から、その宇宙観をお届けします。

  • 駄民具ダミラ

    東京都中野区野方にある「野方文化マーケット」内にある

    駄目で無駄な民具=駄民具の行商雑貨屋。

    所在地:〒165-0027 東京都中野区野方5-30-5 野方文化マーケット内 A号

    営業時間:不定期、予約日のみ開店(開店時は通りすがりの方も見ていただけます)

     

    https://www.instagram.com/damingnimad/?hl=ja

    https://twitter.com/damingnimad?s=21

駄民具ダミラは東京都中野区野方にあるオンボロ商店街『野方文化マーケット』内にある雑貨店。「駄目で無駄な民具=駄民具の専門店」として、あの手この手で駄民具という価値観の普及に日々努めています。そんなダミラが宇宙に関係あるのか明言できないけれど強い引力を感じるアイテム5点を、店主自身のコレクションやダミラで販売中の商品の中から紹介します。

 

 

手のひらの星座早見盤

 

無限に広がる闇の中で幻想的に瞬く星の光から物語を紡いだり、あるいは天体の動きからさまざまな事象を解明しながら進歩してきた人類。星を読むことが生活の習慣であった時代の人々から見たら、このアイテムはさぞ画期的に映るのではないでしょうか。

何月何日何時、どの方角にどのような星座が現れるのかを簡単に調べることができる『星座早見盤』(スターチャート)。こうして改めて説明すると相当賢い代物ですが、現代人の多くからすると小学校の理科の授業で使って以来、ヘタしたら人生で目にする事はほぼないかもしれません。それどころかぶっちゃけ、無くても生きていける…。早見盤の多くは紙でできており、写真のようなブリキ製の半円型は少し珍しいかもしれません。ロマンに溢れたその佇まいは美しく、宇宙をその手に収めたかのような気分になります。天体観測が趣味でもない限り活用の機会は限られ 今こうして駄民具の扱いを受けていますが、持ってるだけでインテリジェンスな薫り漂うひと品であることに違いないです。

 

 

 

新生命体「ホソキュリアン」とマインパークグッズ

 

宮城県栗原市にある鉱山跡地をテーマパークにした施設『細倉マインパーク』。私は地元地域からそこそこ近いこともあり子供遠足で訪れたりしていた当時は何とも思っていませんでしたが、地元を離れ客観視すると相当カルトな方向に振り切っていたことに気付きました。

まだあるうちに行っておこうと大人になってから久々に訪れてみるとそこは子供の頃のまま。館内は鉱山の様子を紹介する蝋人形展示が続いたのち、タイムトラベルと称し細倉鉱山に直接由来はないであろう恐竜の化石やモアイ像のモニュメント、ブラックライトで浮かび上がる神々の曼陀羅壁画コーナー等々…。極めつけは人類と自然とのより良い関係を模索する新生命体「ホソキュリアン」の遺伝子受胎ゾーンで晴れて自分も愛を象徴するホソキュリアンに生まれ変わる!…というブッ飛びようでした。久々にカオスを堪能した後お土産コーナーで入手したのが画像のグッズです。

他にも湯飲みや灰皿、タオルやボールペンなどかなり豊富なラインナップで、施設オリジナルキャラクター『マイン坊や』があしらわれた味わい深いものが多く並んでいました。しかし私が訪れた直後、胡散臭さが漂う展示物を全て撤去した大幅リニューアルを2016年に遂げました。それを機に在庫していたオリジナルグッズは売切り、再販もなしに。以前は鉱山というフィールドを越え地球や宇宙にまで想いを馳せるような展示でしたが、以後鉱山の歴史にフォーカスを絞った至って真面目スポットとなってしまった事はとても寂しく、手元に残ったグッズだけがかつての姿を偲ぶものとなりました。

 

 

 

機関車トランスフォームロボ

 

宇宙が舞台の映像作品は今もなお生まれ続けていますが、このオモチャはまさにそんなSF作品を連想させてくれるアイテムです。一見ただの機関車と思って油断してると、いじっているうちにぎこちないポーズのロボットにトランスフォーム!変形するのは分かったけど、破損が恐くてこれ以上パーツを動かせません。機関車モード時は銀河鉄道999、ロボット変形時はガンダムやオプティマスプライムなど…自分の中の仮想宇宙でこのオモチャが立ち回る姿を想像しながら遊ぶ幼少期を経た子供は、のちに大人になった時かけがえのない体験となることでしょう。

 

 

 

 

ブタの光線銃

 

こちらはモンゴルを訪れた際、マーケットで購入したもの。このマーケットはシベリア鉄道に乗ってやってきた中国人が商いをする場所で、おもに中国製品やシャーマン用の呪術道具などが売っており、地元モンゴル人はあまり好んで立ち寄らない場所のようでした。この場所以外のデパートや土産物店だと羊の骨・カシミヤ・フェルト製品など モンゴルの素朴で真面目な工芸品しか扱っていないので、変なものを探そうと思ったら地元のものより周辺諸国から流れてくる日用品を狙うより他ないようでした。

銃身にはなぜかブタがしがみついており(頭をよく見るとゴジラっぽい被り物をしている…)引金を引くと音楽が鳴り響き、銃口のミラーボールがクルクルと光り輝きSFムード漂うディスコティックな演出をしてくれます。ブタと銃の因果関係は何も感じられないけど、光って音が鳴るだけでとにかくハッピーな気分をもたらすこのマヌケなアイテムはギャラクシーの平和維持には欠かせません。

 

 

 

大予言キーホルダー

 

1999年7月、ジャッジメントデーが訪れるその日まで世界終末の大予言に踊らされた人々が確かに存在したことを物語る製品です。火花を噴き上げるどす黒い焦土(?)を背景に自信満々に掲げられた大予言の文字、そのプレートの下にはなぜか鍵と南京錠、これで一体何を守れというのか…しかし笑いごとにできそうでできない意味深なデザインが一抹の不安を煽ります。もう人類滅亡への道は止められない………しかしその日は訪れませんでした。核戦争が勃発したり恐怖の大王が降ってくるなどしてこの惑星もろとも宇宙の粉みじんになることを多くの人々に覚悟させた大予言は結局果たされないまま、この鍵が何かに使われる日を静かに待ち続けているのかもしれません…。

 

駄民具ダミラは、本日も正体不明、用途不明な駄民具から広がる宇宙的な広がりと出会いを求めて開店中。予約来店した方には駄民具ダミラオリジナルのアイテムをお届け中です。