特別連載2021.11.20

平野陽三、宇宙へ行く。vol.28 10月9日:サンクトペテルブルクにて。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと60日。

この土日を使ってみんなでサンクトペテルブルクまで足を伸ばした。以前も計画していたものの、前回は大雨のために断念したので、今回ようやく訪れることができた。

 

大聖堂を見たり、ぶらっと街を歩いたり、ゆっくりランチをしたり、久々の観光。ロシア一美しい街と言われるサンクトペテルブルク。運河が通り、高い建物がなく、パステルカラーで統一された街並みは確かにとても美しい。

 

途中から雨が降ってきたけど、そもそもサンクトペテルブルクは年に30日程度しか晴れないらしい。現地の人曰く、このくらいの小雨では雨のうちに入らないそう。

 

イタリアンレストランでのディナーが終わりかけた頃、急にBGMがドリカムのHAPPY HAPPY BIRTHDAYに変わって、花火付きのケーキが僕の前に運ばれてきた。自分でもほとんど意識してなかったけど、今日は僕の誕生日で、ケーキはチームみんなからのサプライズだった。36歳にもなって店内でサプライズされるのは小っ恥ずかしかったけど、祝ってくれる仲間がいて幸せ者だ。前澤からは高級なブルゴーニュワインと、日本にいるスタッフからのメッセージ動画も添えられた。

 

36歳の抱負は?と聞かれたけど、やっぱり宇宙のこと以外は考えられない。このプロジェクトを全うすることは当然として、宇宙から地球に帰還したあと自分がどう動くことができるか。抱負ではないけど、責任と課題。大きく人生観が変わるような期待もあるし、意外と内面はなかなか変わらないんじゃないかという気もしてる。だけど、人生においてこの一年がとにかくかけがえのない時間になることだけは分かっている。一年は一瞬、人生もきっと短い。一日一日を大切に生きよう。

 

このあり得ない境遇と周りの人への感謝を忘れず、できることなら自分の挑戦が誰かの役に立てばと強く思う。

 

<次の記事>vol.29 10月10日:サンクトペテルブルクからモスクワ。

 

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