特別連載2021.11.24

平野陽三、宇宙へ行く。vol.37 10月18日:ロシア語の授業がスタート。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと51日。

土日はESAの訓練があったため、休みなしで今週の訓練に突入した。このまま金曜までぶっ続けかと思うと、さすがに疲れを感じた。

 

今日は、はじめてロシア語の授業が組み込まれた。僕たちは訓練期間が短いことと、コマンダーとのやりとりは英語で可能なためロシア語の授業は免除されていたのだけど、やはりソユーズ用語や必要最低限のロシア語は必要ということになり、もはや遅過ぎるとは思うけど、急遽ロシア語の授業が追加された。

 

第一回目の授業は、基礎のロシア語アルファベットの発音から。舌の巻き方や、唇の使い方、アクセントの位置、発声の仕方など、日本語にないものが多すぎて初っ端から大苦戦。しかも英語アルファベットのPをR、HをNと発音したりするから、なんともややこしい。「ハラショー」「スパシーバ」などとよく使ってるけど、いざ「Xорошо」「Спасибо」と一音一音を正しく発音しようと思うとこれが意外と難しい。外国の方が初めて日本語に触れるときもこんな感じなのだろう。

 

ロシア語のイリーナ先生は、常にニコニコしていて、とてもおおらかで優しい先生だった。でも内容はしっかりと教えてくれる。スターシティの先生は本当にみんないい人ばかりだ。

 

みっちり2時間ぶっ続けの授業は少し疲れたけど、こんな機会がない限りロシア語を学ぶこともないし、新しい言語を学ぶことは楽しい。せっかくだから少しでも習得して帰れるといいのだけど。

 

僕たちの発音が下手くそ過ぎて、授業は終始、大爆笑しながら進んだ。

 

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