特別連載2021.11.30

平野陽三、宇宙へ行く。vol.52 11月8日:束の間の4連休を終えて。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと30日。

束の間の4連休はあっという間に終了した。おそらく打ち上げまで最後の連休になるということで、前澤がご褒美にスタッフ全員を南フランスまで連れ出してくれた。今まで世界中いろんな国に連れていってもらったけど、今回の旅もまた、自分の五感を刺激する素晴らしい旅になった。見たことのない、出会ったことのない素晴らしいモノやヒトに触れ、それをどう何にアウトプットしていくか。インプットして、インプットして、自分の中のセンスを磨き、それを何かに変えて表現すること。美しい自然、食事、ワイン、アートに存分に触れフルチャージできたけど、宇宙渡航を目前に改めて考えさせられる旅にもなった。

 

連休明けの今日は、MCC-M(ミッションコントロールセンター・モスクワ)と初めてリモートでのミーティングが開かれた。改めてフライトスケジュールや概要、ISS上でのデイリースケジュールなどの説明を受けた。スターシティで訓練をしていると僕たちが接しているだけの範囲しか見えていないけど、こうして別のところでも仕事をしてくれている人たちがこんなにもいるんだと実感した。

 

ISSに滞在する宇宙飛行士は、基本的にMCCからの指示を受けて行動する。MCCは全てを把握していて、1日の動きも全てMCCによって決められる。他の宇宙飛行士やミッションとの兼ね合い、通信のタイミング、作業指示、データの受け渡しなど、MCCとの連携は必要不可欠。

 

本番はバックアップクルーでPRの小木曽もMCCに入り、僕たちのISS滞在をアシストする。1日に朝と夜の2回、テレビカンファレンスができるようになっていて、そこで状況報告したりデイリープランについて話し合う予定だ。宇宙モノの映画でよく見るミッションコントロールセンター。当たり前だけど、まさか自分が宇宙に行き、ISSとMCCで同僚と通信し合うことになるなんて想像すらしなかった。ふと冷静になったとき、大変なシチュエーションになったもんだなと笑いたくなる。

 

<次の記事>vol.53 11月9日:氷点下でのフィジカルトレーニング。

 

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