特別連載2021.12.07
photo & text Yozo Hirano
出発まであと8日。
今日はGCTCとロスコスモスの広報用にカメラクルーが終日撮影に入って僕たちに密着してくれた。
朝から久々にフライトスーツに身を包み、まずはみんなで記念撮影から。テクニカルスタッフ、ホテルスタッフ、調理場スタッフ、と順番に入れ替わり立ち替わりで記念撮影をした。国柄なのか、宇宙業界がそうなのか、打ち上げが近いからなのかは分からないけど、本当に集合写真を撮る機会が多い。個人的には思い出がたくさん増えるので嬉しい限りだけど、それにしても事ある毎に集合写真を撮る。日本もそうだけど、日本以上に集合写真が好きな気がする。そのわりにはみんな直立不動で、どれも昭和風な写真になるんだけれども。
そのあとの講義、マニュアルドッキングチェック、続いてティルトテーブルとスピニングチェア、最後のフィジカルトレーニングにもカメラが入った。打ち上げまでの最終調整はバッチリ、と言わんばかりの撮影内容とタイミング。分かりやすくていい。
撮影が終わって数時間も経たないうちに、すぐにGCTCのオフィシャルサイトとSNSで、今日の訓練の様子がアップされた。情報は新鮮さが命なので素晴らしいと思う反面、たまにはこちらに掲載確認を回してくれたら良いのに、とも思うけど(自分のことではなく、前澤の広報として)、もうこれには慣れっこになった。
それにしても、ロシアの人々は僕たちのことをどう見ているのだろう。ロシアでは、宇宙飛行士はヒーローのように崇められ、憧れ、尊敬されている。国民にとって生まれたときから宇宙が身近にあり、必ず数ヶ月に一度は自国のロケットが打ち上げられ、その度にテレビやネットで報道される。その一部に、僕たちが今まさに入っているわけだけど、宇宙飛行士ではない、民間人の宇宙渡航者として、ロシアの人たちは僕たちのことをどう見ているのか。宇宙の民主化への一歩を喜んでくれるのか、面白そうな奴らだなと思ってもらえるのか、それとも宇宙はそんな甘いものじゃないぞと思われるのか、あるいは何とも思われないのか。
このフライトに参加させていただく以上、どうかロシアの人々にも迎え入れてもらえるような、そんなフライトにしたいと願う。
実感がまだ湧かないと言いつつも、ロシアの人には受け入れてほしいだの、ここにきて感情が忙しい。
<次の記事>vol.70 12月1日:打ち上げまであと一週間。
1985年、愛媛県生まれ。2007年にZOZOTOWNを運営する株式会社「スタートトゥデイ」に入社、フルフィルメント部門の責任者として従事。現在は前澤友作氏のマネージャーと、「スペーストゥデイ」のプロデューサーを務める。