特別連載2021.11.18

平野陽三、宇宙へ行く。vol.23 10月4日:テスト前日。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと65日。

今日からまた一週間が始まる。月曜から金曜、朝9時から夕方18時までの学校のような生活。

 

朝9時のクラスに入ると、そこにはアレクサンダー・ミシュルキン飛行士が座っていた。トーマスがトムと短縮されるように、アレクサンダーという名前はロシアではサシャと略される。サシャはこれまでにISS滞在2回の間にEVA(船外活動)を4回も行なっている飛行士で、今回のフライトで3回目のISS渡航となる。キャリアもさることながら、他の飛行士やスタッフからの人望も厚く、とってもジェントルマン。

 

サシャとはこれまで何度も会っていてメッセージのやりとりもしているけど、クラスを一緒に受けるのは今日が初めて。コマンダーのサシャ、レフトシーターの前澤、ライトシーターの僕の、3人揃っての訓練がいよいよ始まる。サシャが隣にいるだけで背筋がシャンとして、緊張感が高まった。

 

訓練用のタブレットも今日ゲットした。これはフライトデータファイルと呼ばれる操作ガイドを収録したもので、実際のフライトでもこれを確認しながらソユーズを操作する。

 

そして明日はテストの日。試験官からの質問に英語で口頭回答する。テストは定期的に行われ、前回の訓練から数えて明日は4回目のテスト。今日は明日のテストに向けたコンサルテーションを設けてくれた。ポイントをおさらいし、疑問点を解消する。

 

ホテルでの食事中も、まるで学生時代のテスト期間中のように、前澤と小木曽と問題を出し合って解答を確認し合う。この感じ、嫌いではない。

 

毎回テストの前日は一夜漬けのようになるけど、意外と明日のテストはいけそうな気がしてきた。朝少しだけ早く起きて、予習してから出発しよう。今日は早めに寝ることにした。

 

<次の記事>vol.24 10月5日:テストの日。

 

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