特別連載2021.11.19

平野陽三、宇宙へ行く。vol.27 10月8日:フィッティングチェックと訓練。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと61日。

今日は、ISSで実際に着用するフライトスーツやポロシャツ、ズボンなどが仕上がってきて、フィッティングチェックが行われた。前回6月の訓練時に全身を採寸して、デザインやカラーを決めていたものが、ようやくお披露目になった。

 

フライトスーツは紺色で、ロシアと日本の国旗色を使用して星をモチーフにしたデザインが施されている。試着してみたけど、カッコイイ。デザインしてくれたのはバスキュールの春日さん。ミッションパッチやプライベートパッチなどのデザインも全て春日さんが担当してくれた。いつも雑で急な僕のオーダーに、いつも想像の上をいく格好良いデザインで返してくれる。

 

ポロシャツは全員バラバラのカラーをオーダーしていたけど、実物を見てやっぱりチームとして3人とも同じ色で統一した方がいいね、となった。前澤が選んだライトグリーンは、サシャが明るい色は恥ずかしいと言った。サシャが選んだブルーは、真っ青過ぎて違う色にしようと前澤が言った。僕が選んだ紺色は、前澤とサシャのズボンが紺色だから全身単色になるのは嫌だと2人が言った。その結果、2人の紺色ズボンにも似合うグレーのポロシャツで最終決定した。…..僕のズボンはグレーなのに。

 

午後からはフィジカルトレーニングのあと、今日もソユーズシミュレーターでサシャと3人の実践訓練。前回のフライトの続きから、ランデブー(接近)とドッキング、ハッチオープンまでをシミュレートした。

 

僕たちも自分の持ち回りの仕事とサシャのサポートはやるけれど、やはりコマンダーの操作工数は半端じゃなく多い。通常は宇宙飛行士のコマンダー2名で操作するところを、今回僕たち民間人を乗せたフライトではコマンダー1人で担わなければならない。真横にいて見ていても、正直サシャが何をやっているのか分からないことも多い。そんなときは決して邪魔にならないことに撤し、指示があった場合にはすぐに反応できるように集中する。

 

無事にハッチオープンまでのシミュレートを完了し、今日の訓練を終えた。「ジェントルメン、今日も訓練に集中してくれてありがとう」とサシャが言った。なんてかっこいいのだろう。

 

いよいよ次回から、実際に宇宙服を着た状態でシミュレーション訓練が始まる。

 

<次の記事>vol.28 10月9日:サンクトペテルブルクにて。

 

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