特別連載2021.11.21

平野陽三、宇宙へ行く。vol.31 10月12日:オーダーメイドの宇宙服。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと57日。

今日は、6月に採寸してオーダーしていた宇宙服とシートライナー(ソユーズの座席)が出来上がったということで、Zvezda(ズベズダ)という場所までフィッティングに行ってきた。全てのロシア宇宙飛行士たちは、このZvezdaで宇宙服やシートライナーをオーダーメイドで作る。ちなみに、ISSロシア棟のサービスモジュールの通称もZvezdaと名付けられている。

ただのフィッティングではなく、宇宙服の中に空気を送り込んで膨らませた状態で2時間、座るというか寝そべるというか、シートの中に収まってチェックを行う。これはリークチェックといって宇宙服に空気漏れが発生しないかのテストと、その状態で長時間座っていても体に負担が掛からないかをテストするためのもの。

 

まず感動したのがアンダーウェア。宇宙服の下にステテコのような下着を着るのだけど、それが腕や太腿などぴったりフィットして無駄なダボつきがない。これはかなり期待が持てる。

 

次に宇宙服。いつも訓練のときは年季の入ったものを着ているので、真っ白でピッカピカの宇宙服に感激した。使っていない分素材が硬くて少し着るのは大変だけど、サイズ感はバッチリなような気がする。立っていると肩が突っ張って窮屈だけど、寝そべったときに体が下がるのと、宇宙服に酸素を送った場合に膨らむのとで、このくらいがちょうどいいらしい。

 

宇宙服を着たままシートライナーに体を収める。訓練のシミュレーターでは、いつも首の位置が定まらず、肩周りも当たりどころが悪くて気になってしまうけど、自分専用の宇宙服とシートライナーはピッタリとハマった。これであれば長時間のフライトでもなんとか耐えれそうだ。

 

そのまま2時間のリークチェック兼フィッティングチェックを無事に終えた。時間の半分は眠ってしまうくらいリラックスして座っていられた。

 

Zvezdaでもドクターやエンジニアの方々が何名も協力してくださっている。そしていつも笑顔で激励の言葉を掛けてくれる。宇宙に行くということは、本当にたくさんの人たちのサポートがあって成り立っているということを思い知らされる。

 

感謝しかない。今日もありがとうございました。

 

<次の記事>vol.32 10月13日:訓練後のサウナにて。

 

記事一覧はこちら

プロローグはこちら