特別連載2021.11.26

平野陽三、宇宙へ行く。vol.42 10月23日:レジャーという名の訓練。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと46日。

今日はチームのプライベートな話。ロシア滞在中は何かリフレッシュできるエンタメやレジャーはあるのか。

 

訓練中の生活は本当に単調で、基本的に平日は朝から夕方まで訓練所にいて、ホテルに戻ってくる頃にはもう夜になっている。ディナーもホテルの部屋で食べるし、ほぼホテルと訓練所の往復のみというルーティンな生活。土日はたまにみんなで買い物に行ったりはするけど、訓練中の身でありコロナ禍ということもあり、行動範囲は最小限に控えている。そういう意味では、長い間モスクワに滞在しているけど、正直あまりモスクワのことを知らない。無事に宇宙から帰還し、その時コロナが落ち着いていれば、ゆっくりとモスクワを回ってみたいものだ。

 

そんな中、我々の数少ないレジャーのうちのひとつに「卓球」がある。実はここ1,2年、卓球にハマっていて、海外にいくと滞在先のホテルに無理をお願いして前澤の部屋に卓球台を設置してもらっている。食事が終わると、食後の軽い運動としておもむろにみんなで卓球を始める。これが毎晩やるものだからみんな結構上手くなってきていて、日本に帰ったら企業対抗の卓球大会に出場しようだなんて話しながら、夜な夜なおじさんたちが汗をかきながらホテルの一室でラケットを振っている。

 

普通に試合をやってもキリがないからと、そのうち毎晩前澤によってゴール設定がされるようになった。例えば、全員でラリー1000回いったら終了、1対1でラリー50回を25秒切れたら終了、といった具合に。

 

しかしここ最近、それの度が過ぎてしまっていて、ラリー5000回いけたら、というレベルまできてしまった。正直言って、訓練よりもキツくなってきた。一日訓練して帰ってきてご飯を食べたら、またすぐに卓球というフィジカルトレーニングを行う。いや、フィジカルというよりメンタルトレーニングというべきか。とにかく集中力を切らさないことと、相手の打ちやすい場所に毎回確実に返す反復作業。前澤はやると決めたら達成しない限り、絶対にやめない。それは事業でも遊びでも何においても。それをよく知っている我々は、5000回達成しない限り今夜は絶対に寝れないことを知っている。どんなに疲れていても、何度ミスしようとも、何時間掛かろうとも、やると決めたら確実に妥協はしてくれない。外から見ると何のために?早く寝れば?バカじゃないの?と思うかもしれないけど、成功するかしないかの大きな差がそこには確実にあるように思う。やらないよりはやった方がいい。せっかくやるなら目標は高く。小さなことやどうでもいいように思えることでも、とにかくやり切る力。やり切るための知恵や工夫や集中力。前澤の成功の秘訣は?と問われれば、僕はこの「やり切り力」を一番に挙げるだろう。

 

ということで、チームみんなで協力し合い、集中力を切らすことなく研ぎ澄まし、無事に5000回ラリーを達成してこの日も一日を終えた。

はて、レジャーの話はどこへやら。

 

<次の記事>vol.43 10月24日:バックアップクルー小木曽。

 

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