特別連載2021.11.27

平野陽三、宇宙へ行く。vol.45 10月26日:低酸素トレーニング。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと43日。

最近もっぱら多いのが低酸素トレーニング。機械に繋がれた専用のマスクを口と鼻にあて、低酸素状態を作り出して数分間の呼吸を複数回に渡って行う。

 

普段僕たちが地上で呼吸している空気には、酸素が21%含まれているらしい。それを14%からスタートして、数回に分けて11%まで減らしていく。これは打上げ時の高度上昇や、緊急事態を想定して、低酸素に耐えられる体を作るためのもの。

 

低酸素状態になると、人によっては頭痛がしたり、気分が悪くなったり、眠くなったり、視界が狭くなったりするらしいけど、幸いにも僕はあまり症状がでない方のようだった。だからこの低酸素トレーニングは僕は嫌いではない。座って呼吸しているだけで、頭も体もほぼ使わずに授業の一コマが消化できる。特に寝不足の日の朝イチに低酸素トレーニングがスケジュールされていると、ラッキーだと思ってしまう。

 

今日で低酸素トレーニングは4日目。たしかに体が低酸素に慣れてきているのを感じられた。複数回のルーティンを行ったあと、最後に息を止めて何分耐えられるかのテストをするのだけど、初日は2分30秒、4日目には3分10秒まで伸ばすことができた。自分でも3分を超えて驚いたけど、「アトリチナ!」とドクターたちも褒めてくれた。

 

少しずつ、体が宇宙に向かっての準備を始めている。

 

<次の記事>vol.46 10月27日:撮影機材の最終チェック。

 

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