特別連載2021.11.27
photo & text Yozo Hirano
出発まであと42日。
今日は、実際にISSに持ち込む撮影機材などの最終チェックをしにエネルギアに訪れた。エネルギア(正式名称:S.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギア)は、僕たちが搭乗する予定のソユーズ宇宙船やプログレス補給船、人工衛星、ISSのロシアモジュールなどを作っている設計製造会社で、ロスコスモス直下の民間企業。
エネルギアに到着して部屋に通されると、お願いしていた機材がすべて揃えられていた。心配していたバッテリーやチャージャー、メモリカードなど、細かいものまで全ての数量が揃えられていて、信用していなかったわけではないけど、ほっと安心した。GoProなどの小さなカメラを合わせると僕が個人で持ち込むカメラは全部で5台。それに加えてISSの各モジュールに備えられている複数の別のカメラを合わせると、本当に一人でオペレーションし切れるか、撮りたい画が満足に撮り切れるか、しかも初の無重力下で、、いささかの不安を感じてしまった。
ちなみにこれらの撮影機材や精密機材は、「ISSに持ち込んでも危険はありません」というお墨付きをもらわなければISSに持っていくことは許されない。例えばバッテリーが宇宙空間で耐えきれないものだった場合は火災の原因に成り得るし、破損に弱いデバイスだった場合に、破片がISS船内の機材の中に入り込んでしまう可能性だってある。そのため、機材によるリスクがないことを証明をするために、少なくとも1アイテムにつき3点をエネルギアに提出して、事前に耐久試験や破壊テストなどを行っている。そのテストに通った機材たちが、今目の前のテーブルに並べられている。その機材試験のために、想像以上の多額のコストも掛かっている。
カメラの練習と、ISSでのオペレーションのイメトレをいっぱいして、本番で精一杯パフォーマンスできるように準備しようと思う。
1985年、愛媛県生まれ。2007年にZOZOTOWNを運営する株式会社「スタートトゥデイ」に入社、フルフィルメント部門の責任者として従事。現在は前澤友作氏のマネージャーと、「スペーストゥデイ」のプロデューサーを務める。