特別連載2021.12.07
photo & text Yozo Hirano
出発まであと3日。
打ち上げまで3日に迫った今日は、ロケットのロールアウトというビッグイベントが待っていた。ロールアウトというのは、組み立てられたロケットが初めて格納庫から出庫され、レールの上を引かれて発射台まで移動する、ロケットの初お披露目の儀式。
昨日の夜から雨が雪に変わって、雪の中でのロールアウトなんてさぞかし幻想的だろうとワクワクしていたら、残念なことにプライムクルーは伝統的にロールアウトには参加できない決まりになっていた。これは昔からロールアウトには立ち会わない方が打ち上げが成功するという験担ぎと、ロールアウトには関係者やメディア、見学者なども多く来るため、外部との接触をしないという理由だそう。確かにここまで隔離を続けてきて、打ち上げの3日前に人混みと接触してしまったら元も子もない。残念ながら僕たちはお留守番になったけど、バックアップクルーの小木曽やカメラマンさんはロールアウトに参加することができたので、たくさん写真を撮ってきてもらった。
まだ外は真っ暗な早朝からロールアウトは行われたけど、想像通り、雪の中レールの上を運ばれていくソユーズはとても美しかった。写真でしか確認できていないけど、雪が舞う中、MZロゴを背負って勇ましく発射台を目指すその姿は、もう命が吹き込まれているように感じた。
そしてSite31に到着したソユーズは、ついに直立してフライト体勢に入った。ソユーズが立ち上がるところをやっぱり見てみたかったなと思うけど、打上げ本番まで再会はお預け。
ここから3日間、寒空の下、ソユーズは僕たちが来るのをじっと待っていてくれる。
<次の記事>vol.76 12月6日:打ち上げ成功を願う映画鑑賞会。
1985年、愛媛県生まれ。2007年にZOZOTOWNを運営する株式会社「スタートトゥデイ」に入社、フルフィルメント部門の責任者として従事。現在は前澤友作氏のマネージャーと、「スペーストゥデイ」のプロデューサーを務める。