特別連載2021.12.07

平野陽三、宇宙へ行く。vol.67 11月26日:きぼうを見よう。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと12日。

今日は、ここカザフスタン・バイコヌール上空を、19時45分にISSが横切るということで、ディナーを終えてすぐ、ダウンジャケットを羽織って、みんなで外に出て、空を見上げた。

 

KIBO宇宙放送局がやっている「#きぼうを見よう」の「ARきぼう予報」を見ながら、スマホ片手に、もうすぐこのあたりから出てくるよー、なんて言いながら夜空を見上げていると、本当に指差した位置から、小さな光の玉がすーっと移動してくるのが見えた。バイコヌールは街灯も少ないので、夜空にしっかりとISSが映し出された。

 

時速28,000kmで飛んでいるだけあって、地上から見ていてもISSは速くて、あっという間に僕たちの視界から移動していく。あそこに今も人が乗っていると思うと不思議な感覚になる。そして、もうすぐそこに自分も行くのだと思うと、さらに不思議な感覚が度を超えて、どうにもこうにも実感が湧かない。もうここまできて実感が湧かないのだから、実際に行ってみるまで実感なんて湧かないのだろうと思う。

 

そりゃそうだ。宇宙へ行くのだ。
実感なんて湧くはずがない。

 

#きぼうを見よう

 

<次の記事>vol.68 11月28日:バイコヌールでの1日。

 

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