特別連載2021.12.07
photo & text Yozo Hirano
出発まであと7日。
打ち上げまで、あとちょうど一週間になった。正真正銘、カウントダウンが始まった。だけど本当にこれで良いのかというくらい、GCTCでトレーニングしていた頃と比べてスケジュールが緩い。先日の日記でも書いた通りのルーティンが続いていて、経験したことはないけど、リハビリ施設にいるような感覚だろうか。
なので、打ち上げまであと一週間になっても、焦ろうにもやることがなくて焦れないというのが実情だ。逆に言えば、そのくらいもうやれることは全てやっていて、いつでも準備万端ということなのだろうとも思う。であれば尚更、習ったことを色々覚えているうちに早く飛んでしまいたいとも思うけど。
今日朝ごはんの時、サシャに「打ち上げまで一週間になった気分はどう?」と聞いたら、「もうくたびれた、早く飛びたいよ」と苦笑いし、「でも仕方ない、打ち上げまでゆっくり過ごそう」と微笑んだ。
隔離期間が3週間もあるのは、急に環境が変わって体調を崩したりしても、3週間あればさすがに完治できるだろう、という保険のような期間なのだと思う。プライムクルーにバックアップクルーがいるように、ソユーズや宇宙服にいくつものバックアッププランが用意されているように、何かあったときには保険の何かが常に用意されていて、それは全てにおいて徹底されている。それこそが何十年も打ち上げによる犠牲者を出さず、永続的に人を宇宙に送ることができるロシアの強みなのだと思う。
スケジュールはゆったりで、あまり頭も体力も使っていないけど、なんだかんだであっという間に1日が終わっていく。常に頭の中では打ち上げまでの時間を計算している。その日が早く来てほしいのか、それとももう少し待ってほしいのか、自分でもよく分からない。刻々と近づくその時に向けて、なんとなく心臓のあたりがソワソワし始めてきた。
1985年、愛媛県生まれ。2007年にZOZOTOWNを運営する株式会社「スタートトゥデイ」に入社、フルフィルメント部門の責任者として従事。現在は前澤友作氏のマネージャーと、「スペーストゥデイ」のプロデューサーを務める。