特別連載2021.11.12
photo & text Yozo Hirano
出発まであと84日。
訓練を終えてホテルに戻ってから、みんなで前澤の部屋に集合した。今日は「INSPIRATION4」の打上げ日。スタッフみんなで打上げの中継を観て応援することになった。
宇宙飛行士なしの民間人4名によるオービタルフライト。SPACEXのクルードラゴンに乗って、ISSよりも高い高度575kmを3日間周回する。
打上げは大成功。もう見慣れた気もするほどの安定感で、大きな機体は1秒も狂わずオンタイムで打ち上がった。鮮烈なオレンジ色の炎をあげてロケットは一瞬にして大気圏を抜け、あっという間に200kmの軌道飛行に入った。
さすがはSPACEXと感心すると同時に、実際に人が乗り込んだロケットが打ち上がるシーンは、やっぱり何度見ても感動する。事前にNetflixでINSPIRATION4のエピソードを観ていたせいで、その感動もひとしおだった。とにかくみんな人想いで、明るくて、なによりもポジティブ。しっかりと夢を見据え、その情熱と経験を人や世の中のために伝えようと前向きに努力している。
そんな彼らと、同じ宇宙に向かう自分を重ねてしまい、
どっと不安が押し寄せてきた。
彼らほどの大志と覚悟があるか。
宇宙に行くことの価値とその責任を軽視してないか。
考え出すと、眠れなくなった。
1985年、愛媛県生まれ。2007年にZOZOTOWNを運営する株式会社「スタートトゥデイ」に入社、フルフィルメント部門の責任者として従事。現在は前澤友作氏のマネージャーと、「スペーストゥデイ」のプロデューサーを務める。