特別連載2021.11.14

平野陽三、宇宙へ行く。vol.9 9月20日:GCTCでの訓練開始。

photo & text: Yozo Hirano

出発まであと79日。

今日から2ヶ月間、スターシティ内にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センター(GCTC: Gagarin Cosmonaut Training Center)で本格訓練が始まる。

 

モスクワ市内のホテルから車で1時間ほどの距離を毎日通うことになる。大変そうに思えるけど、メールを返したり、日本とテレカンしたり、訓練の復習をしたりと、意外と通勤時間は有意義に使える。

 

訓練初日はあいにくの雨。今週はずっと天気が悪いらしい。厳重なセキュリティゲートを2つ超えて、いつもの訓練施設に入った。戻って来れた喜びと、いよいよ最終訓練が始まるという緊張で、心が少しソワソワした。

 

この日の訓練は、フィジカルトレーニングから。バイク、ストレッチ、ウェイト、プールを各30分。内容はどれも軽めだったけど、初日の朝からしっかり体力を削られた。

 

午後からの授業は全て座学。2ヶ月ぶりの訓練ということで、ソユーズの基本事項のおさらいからスタートした。ソユーズ内のどこにどんな装置があり、いつどのように使用するか。打上げまでの手順は?注意事項は?

 

所々抜け落ちていたり、間違って記憶していたりする。ここから、またしっかり勉強しなくちゃいけない。ちなみに先生たちはすべてロシア語で、それを通訳さんが英語に訳して教えてくれる。ロシア語はおろか、英語すら苦手な僕はリスニングに全集中した一日の終わりにはヘトヘトになっている。

 

そんな感じで18時まで黙々と講義を受けて、初日を終えた。帰りは朝よりも道が混むので1時間と少し掛かる。帰りの車中では小木曽(バックアップクルー兼PRディレクター)と、打上げ前後のイベントについて打合せを行う。最近は毎日のように打上げやISS滞在に関する情報がアップデートされる。

 

打上げまで、もう80日を切った。

 

<次の記事>vol.10 9月21日:GCTCでの訓練2日目。

 

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