特別連載2021.11.15

平野陽三、宇宙へ行く。vol.12 9月23日:サバイバル訓練。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと76日。

今日からいよいよサバイバル訓練。残念なことに今日も朝から雨は降り続いていたけど、雨でも雪でも、コンディションが厳しいほどサバイバル訓練には相応しいと教官が言った。明日の本番に向けて、今日は森の中で説明を受けながらサバイバル活動をしていく。

 

建てるテントは二種類。一つは、自立する2本の木の間に細木を通し、そこにさらに細木を立て掛けて傾斜を作り、モミの葉とパラシュートで覆って半屋根の小さなテントをつくる。

 

もう一つは、切り出した7〜8本の長い木を円錐状に組み建て、そこをパラシュートでラッピングして大きなインディアンテントをつくる。どちらのテントもモミの木の葉を床に敷き詰め、ふかふかのカーペットをつくる。どちらのテントも寝心地は悪くなかった。

 

テントのそばには焚き火も欠かせない。12月の帰還で万が一森の中で遭難した場合、一番の大敵は「寒さ」だという。寒さからどう身を守るかが生き延びるポイントで、防寒具、テント、焚き火の3つが最重要アイテムとなる。

 

焚き火にも二種類あって、テントの側または中で防寒と飲食のためにつくる小さな焚き火と、レスキューチームに居場所を伝えるために煙を焚く大きな焚き火。小枝、中枝、幹を用意し、下から順に火のつきやすいものからうまく組み上げていく。雨が降っている中で湿った枝でも、テクニックがあれば焚き火をおこすことができる。

 

訓練ではあるけど、なんだか軍隊に体験入隊したようで楽しかった。明日の本番は、今日受けたレクチャーの内容を、コマンダー役のインストラクターと前澤と僕の3人だけで実行する。

 

インストラクターは一切英語が話せず、前澤と僕はロシア語が一切理解できない。さて、明日はどうなるか。

 

<次の記事>vol.13 9月24日:サバイバル訓練本番。

 

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