特別連載2021.11.19

平野陽三、宇宙へ行く。vol.26 10月7日:実技訓練。

photo & text Yozo Hirano

出発まであと62日。

昨日からコマンダーのサシャと、3人でソユーズのシミュレーターに入っての実技訓練が始まった。

 

サシャはとても丁寧にゆっくりはっきりと指示を出してくれる。僕たちはサシャの指示以外では勝手に操作することは許されていない。サシャのオーダーを待って、それ通りに操作を行う。ローンチ前の船内での準備から打上げ、軌道投入、接近、ドッキングまでの一連の操作を一つ一つシミュレートしていく。実践訓練は緊張感もあるけど、その分楽しい。

 

サシャは一つ一つの僕たちの操作が完了するごとに、「サンキュー」と言ってくれる。そして僕たちに声を掛けるときには必ず「ジェントルメン」と呼んでくれる。あなたの方が何倍もジェントルマンだ。

 

今日はフライトスーツ(青いジャンプスーツ)を着てのシミュレーションだったので狭い船内でもまだ動けたけど、これを宇宙服でやるとなった場合は、勝手が全く違ってくる。ほぼ動けないと言っても過言でないくらい、本当に身動きが取れなくなる。

 

この日の訓練は、ISSまで接近する途中でタイムアップになり終了した。次回は続きからドッキングまで。訓練がどんどん本格化してきている。打上げが近くなってきていることをひしひしと感じさせられる。楽しみと焦り不安が入り混じる。

 

打上げまで60日余り。

 

<次の記事>vol.27 10月8日:フィッティングチェックと訓練。

 

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