特別連載2021.12.01
photo & text Yozo Hirano
出発まであと28日。
ISS滞在中に、Lazma(ラズマ)というメディカル器具を使って、体内の血液の詳細な動きを計測する実験に参加することになっている。今日はそのLazmaのセッティングと計測方法のレクチャーが行われた。
Lazmaは、無重力下で皮膚内の血液循環を計測するデバイスで、最も細い血管の血液循環まで調べられる。無重力環境では体の血液循環がうまくにいかず、全身の血液が上半身に上がってしまうことで、頭痛や体のむくみなど、様々な症状が出てくる。この血液循環が身体に及ぼすリスクを調べることが、このLazmaの研究だそうだ。
手の指、足の指、手首、頭にAirPodsケースくらいの大きさのデバイスを固定し、それぞれ8分間データを取得する。毛細血管の血液の流れまで感知する精密なデバイスは、動きに敏感過ぎて少し体を動かしてしまっただけでデータに狂いが生じてしまう。そのため計測の間は微動だにしてはいけないのだけど、果たしてISSの無重力空間でピタッと止まっておくことが可能かどうか。寝袋の中に入って固定するか、ハンドレイルに手や足を挟んで固定するか。いずれにせよ実際に船内に行ってみないと分からない。
バイコヌールでは打ち上げ直前の7日間、ISS滞在中は毎日12日間、この計測を行わないといけないのでちょっと大変だけど、自分が宇宙に行くことで少しでも何かのお役に立てられればと思うと、お安い御用だ。
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1985年、愛媛県生まれ。2007年にZOZOTOWNを運営する株式会社「スタートトゥデイ」に入社、フルフィルメント部門の責任者として従事。現在は前澤友作氏のマネージャーと、「スペーストゥデイ」のプロデューサーを務める。